「アサーティブネス」を身につけて仕事や恋愛もスムーズに

職場の人間関係はうまくいっていますか?上司や先輩の前ではいつもいい顔をして、何でも引き受けていませんか?
飲み会や遊びに誘われた時、行きたくなければ NOと断わることができますか?恋愛のパートナーに自分の気持ちや考えを正しく伝えていますか?

一般的に、年齢・地位・立場などに差があると、人間関係のバランスがどうしても崩れやすくなります。対等な関係でなければ、どちらかが有利になったり、不利を被ってしまったりして、なかなか思ったとおり進められないと思い悩んでいる人が多いのが現実です。

一体どうすれば、有利にも不利にも傾かないバランスのよい関係が築けるのでしょうか?ここで切り札になるのが、「アサーティブネス」という頼もしい味方です。自分と相手を同等に大切にしながら、自分の気持ちや意見をきちんと伝えていくことができるコミュニケーションの手法です。

「アサーティブネス」とは?

アサーティブネス

「アサーティブネス」という言葉は英語ですが、日本ではあまり馴染みがなく、抽象的なイメージを持つ人が少なからずいるようです。関連する単語をリストアップして、わかりやすく意味をまとめてみました。

「アサート」assert【動詞】断言する、主張する、自己主張する
「アサーション」assertion【名詞】主張、自己主張、断定、断言
「アサーティブ」assertive【形容詞】自分を主張する、主張のはっきりした、
自信のある、積極的な
「アサーティブネス」assertiveness【名詞】自己主張の強さ、(相手にも配慮した)自己主張

「アサーティブネス」とは、相手も尊重したうえで、誠実に、率直に、対等に、自分の要望や意見を相手に伝えるコミュニケーションの方法論です。強過ぎず、かと言って弱過ぎない、バランスがとれた中庸のコミュニケーションを目指します。それでは、なぜ「アサーティブネス」の発想が生まれたのでしょうか?

遡ること1950年代、アメリカの医療の場が発祥と言われています。行動療法と呼ばれる心理療法の中でカウンセリング法として実施されたのが始まりとのこと。1960年代はキング牧師の非暴力運動に代表されるように、人権と自己主張の重要性がアピールされ、1970年代にはウーマンリブ運動が活発化し、自己主張の権利が叫ばれるようになりました。

その後「アサーティブネス・トレーニング(自己主張訓練)」が注目を集め、多方面で必要とされ始めました。日本でも、ビジネス・医療の現場・学校教育の場などで大いに生かされるようになってきました。

本当は主張したいのに我慢していると、どんどん不平不満が溜まっていきます。もし限界レベルを越えてしまうと、突如ドカンと爆発し、それまで大事に築いてきた人間関係が大きくひび割れてしまいます。私たち日本人の忍耐強さが かえって仇になってしまわないよう、普段から上手に自分を表現してガス抜きする必要があります。

言いたいけれど言えない状態から脱皮して、言いたいことを言えるようになれる「アサーティブネス」が今こそ求められるのです。

あなたのコミュニケーションは? 「アサーティブでない人」の3タイプを知ろう

アサーティブネス

では「アサーティブネス・コミュニケーション」ができるようになるには、どうしたらいいのでしょうか?まず悪い例として「ノンアサーティブ(アサーティブでない)」なタイプが3種類あります。あなたはどのタイプに当てはまりますか?

ノンアサーティブなタイプ①攻撃的なタイプ

自分の要求を押し付ける傾向があります。相手のことはお構いなしに、自分の意見を通そうとします。また、人間関係を勝ち負けで判断するため、負けん気がとても強いです。時に、相手を見下して自分の立場を守ろうとすることもあります。命令的な口調を好み、態度は支配的になります。その結果、周囲の人たちは圧倒され萎縮して、何も言えなくなってしまいます。

<攻撃的なタイプの特徴>
・相手のことを見下す
・批判されるとイライラする
・自分の意見を聞いてくれない人が不快

ノンアサーティブなタイプ②受身的

人間関係に波風を立てないよう、自己主張を避けるタイプです。あえて自分の感情を抑えて、意見をはっきり言わないようにします。寡黙になったり、相手にすべてを委ねてしまうこともあります。

相手の感情を損ねないよう、対立を招かないように、自分の感情を抑圧して我慢する場面が日常で増えてしまいます。自分に自信が持てず、小声で曖昧な言い方になりがちで、態度もはっきりしないため、周囲をイライラさせる恐れがあります。

自己肯定感や自尊心が低く、いつも不安な気持ちを抱いているため、我慢し過ぎるとストレスが過剰に蓄積して、心身症/うつ病などを発症するかもしれません。

<受身タイプの特徴>
・自己主張が苦手
・相手の顔色を伺う
・自己肯定感が低い

ノンアサーティブなタイプ③作為的

見える所では対立が生じないようにしながら、裏工作や陰で仕返しをするタイプです。見えない所で悪口や嫌味を言ったり、周りの人間を巻き込んで相手を追い込んだりします。従順なふりをしたオオカミに似ていて、ぱっと見は謙虚であっても、本当は不誠実で 相手を見下しているケースが多いようです。

<作為的タイプの特徴>
・権力に弱い
・負けず嫌い
・人に直接物をいうことが苦手
・対立は怖いけれど相手に攻撃をしたくなる

実は、上記3タイプはすべて、相手のことを考慮しない自己中心的な人物と言えます。常に頭の中で考えているのは自分のことだけです。「受け身」タイプは一見すると相手に寄り添っている感じがしますが、あくまでも自分を防衛するためだけの見せかけの優しさです。

根本は自分中心主義で、自分が傷つかないよう、嫌われないように振る舞っているだけなのです。「アサーティブネス」の基本は、自分と相手を共に対等な立場と捉えます。自分だけを中心にすることはあり得ないし、相手も中心にしません。

アサーティブネスを身につけるための3つのポイント

アサーティブネス

サーティブネスを身につけるためにはどうしたら良いのでしょうか?ここからは、どうしたらアサーティブネスを身につけることができるのかを一緒に見ていきましょう。

アサーティブネスのポイント①相手を不快にしない非言語コミュニケーション

コミュニケーションには2種類あり、バーバル(言語的)とノンバーバル(非言語)コミュニケーションに大別されます。バーバル・コミュニケーションは、言語情報ベースの直接的なコミュニケーションのことで、例えば会話や電話、手紙やメールなどが挙げられます。

その反対に、ことば自体に頼らないのがノンバーバル・コミュニケーションです。中でも印象を決定づけるのが、ビジュアル(視覚)情報です。下記の項目に気をつけて、あなたの好感度を高めておきましょう。

  1. 服装/身だしなみ
    第一印象を大きく左右する自己表現の1つ
  2. 表情
    言葉と表情が一致すると気持ちが伝わりやすい、笑顔が最高
  3. 視線
    目は口ほどに物を言う、直視しすぎず上手く視線を合わせる
  4. 姿勢
    背筋を伸ばす
  5. 動作
    腕組みや貧乏ゆすりはNG
  6. その他
    受身的な人は小さい声、攻撃的な人は大きい声

いかがですか?アサーティブは言葉だけではなく、非言語遣いもとても大切です。できるだけアサーティブネスを卒業してアサーティブな自分になって人間関係の悩みを解決するだけではなく、人との付き合いをより楽しいものにしていきましょう。

アサーティブネスのポイント②事実と感情を分けるようにする

現実に起きている目の前の事実と、それによって引き起こされる感情が混在してしまうと、解決へ進む道からますます遠ざかってしまいます。人間の感情は時として人を迷路の中へ追いやってしまいます。感情作用の比率が高くなるほど、どうしても人は冷静さを失って、よい判断ができなくなります。

状況を的確に読み取って少しでも早く解決策へ導くために、常に客観的に物事を捉える必要があります。そのため、事実と感情は常に別物として分けて考えるようにしましょう。

例:相手に挨拶をしたら返事がこなかったので、嫌われているかもしれない

<事実>
挨拶をしたこと

<感情>
嫌われているかもしれない

挨拶を無視されたことは事実ですが、受け取った感情は事実ではなく自分自身の主観。これを混同してしまうことにより、自分自身の思い込みで相手のことを否定してしまったり、不安になってしまうということが起こりやすくなります。

アサーティブネスのポイント③物事の伝え方を事実、感情、要求で伝える

あなたは、家族、仕事、恋愛、そのほかの人間関係で相手に何かを伝える際にどのような言葉で伝えていますか?相手のことを傷つけてはいけない..逆に強く物事を言いすぎてしまった..。という経験はありますよね。

もしくは、注意をしないといけないけれど、嫌われたり相手を傷つけることもできれば避けたいのが本音のところ。そこで、登場するのがアサーティブネスです。事実・感情・要求を整理した上で、順序よく話します。

具体的にどのように話をするのかをステップごとにご紹介します。

<例題>
部下からのメールの返信や報連相が少なくて状況が全くわからないことが続いている。実際に進めている企画も遅れてしまっているため、素早く返信や報連相をしてほしいとお願いをしたい。

(1)事実 「今何が起きているか」

相手だけでなく自分の言動も含めて客観的に観察して、簡潔に具体的に説明しましょう。

例題のケース
最近、メールの返信が遅いけれど何かあったかな?

(2)感情 「どう感じたか」

事実に対する自分の感情を誠実に言語化し、あくまでも「私が」どう感じているのかを伝えます。

例題のケース
返信がないと心配になるよ。

(3)要求 「何をして欲しいのか」

実現可能な内容を選んで、具体的かつシンプルにまとめて率直に訴えましょう。

仕事の企画が遅れないようにするためにも、そしてA さん自身のことも心配になるから返信はできるだけ早めに送ってもらえると嬉しいな。

このような流れが代表的なアサーティブネスの方法です。それでは、もう少しシチュエーション別にアサーティブな考え方を具体的にみていきましょう。

アサーティブネス・コミュニケーションの具体例3選

アサーティブネス

では実際に、シチュエーション別のアサーティブネス・コミュニケーションの例を見ていきましょう。読み進めていく中でこの文章を読んでいるあなたの日常にも照らしわせてみると読むだけでスキルUPにつながります。ぜひやってみてください。

【アサーティブネスコミュニケーション ①】
 同僚たちとのミーティングの際、ある案について意見を求められました。
 みんなは賛成していますが、あなただけが反対意見です。どのように伝えたらいいでしょうか?

ノンアサーティブ(悪い)例
攻撃的 → 否定する 「いや、それはないと思う。」
受身的 → 我慢して意見を合わせる 「そうですね… いいと思います。」
作為的 → 「いいですね。」と賛成しながらも、あとで他の同僚に不平不満をいう

アサーティブ 例
問題点があれば具体的に挙げて意見を述べる。(時間/金額/人数が足りない等)
「予算が足りないかもしれないから、半年では難しいと思います。」
改善策が考えられるなら、提案してみてもいい。

アサーティブネスコミュニケーション ②】
 1時間で終わるはずの会議が長引きそうです。あなたには次の予定が入っています。
 会議の出席者を不快にさせず会議を終わらせたい場合、どうすればいいでしょうか?

ノンアサーティブ(悪い)例
攻撃的 → 「いつまでダラダラ続けるんだ!」とイライラする
受身的 → 「あの~……そろそろお時間が……」とビクビクする
作為的 → 時計を何度も見て出席者に無言で訴える

アサーティブ 例
「そろそろ時間になりますので、今日はいったんお開きにしましょう。」と堂々と提案する。次の予定がある場合は、そもそも会議の前に伝えておく。時間が許せば、次の開催を決めておくとよい。やむを得ず会議が延長した時は、一言断って退席する。「恐れ入りますが、この後すぐ予定がありますので、退席させていただきます。」

アサーティブネスコミュニケーション3】
 朝からたくさんの業務を抱えて忙しい時に、上司から急ぎの仕事を頼まれました。どう対応したらいいでしょうか?

ノンアサーティブ(悪い) 例
攻撃的 → きっぱりと断る
「今忙しいので無理です。」

受身的 → 締切に間に合わないかもと思いながら、やむなく承諾する
「そうですか…… はい、承知いたしました…」

作為的 → 引き受けるものの「今忙しいのになあ…」とつぶやく

アサーティブ 例
自分が仕事を抱えている現状を上司にありのまま伝えて、意向をきく。「現在〇〇の仕事をしており〇〇が締切ですが、いかがいたしましょうか?」または、代案を示してもよい。「〇〇の仕事が〇時頃に終わりますので、その後でもよろしいでしょうか?」

アサーティブネスを学んで人間関係を楽にしよう

アサーティブネス

アサーティブネス・コミュニケーションを身につけると、相手を十分尊重しながら、同時に自分の意見や気持ちをはっきり主張することができるようになります。TPOに合った適切な表現を用いて相手にアプローチするので、たとえ相手と意見が対立したとしても、必ず互いに受け入れ可能な結論に到達できるでしょう。これまで苦手意識を持っていた人間関係が、アサーティブネスのおかげで確実に克服できるようになります。

ビジネスでもプライベートの場でも自信を持ってコミュニケーションできるように、今日から是非「アサーティブネス」を学んでいきましょう。「アサーティブネス」に興味をお持ちの方は、詳細をご覧ください。